コラム

 日本では2020年までに3か所前後でのカジノの開設を認める検討 に入ったとの記事が掲載された。ある記事の中では、具体的に入場 料の徴収方法などについても言及されていたが、シンガポールのオ ペレーションに習う場面を伺わせる内容もある。 東京オリンピックに向け東京都では国立競技場の改修工事など大 規模な公共事業が今後計画される中、人手不足の懸念も浮上してき ている模様だ。本来お台場カジノなども構想上にはあったが、都知 事の意向は現状少なくとも賛成とはなっていない様子だ。統合型リ ゾート法案(カジノ法案は)、現在審議継続として秋の臨時国会で の成立をめざしている。法案成立後も、課題として残るであろう依 存症対策や治安対策、またマネーロンダリングなどの対策をいかに 行っていくか、海外の観光客を呼び込むためには避けては通れない 課題も多い。このような中で、政府では既に専門チームを組織し、 法整備やルール作りの検討に入っている。  

 我々のロケーション・エンタテインメント学会では、既にカジノ を含む統合リゾートが生み出す経済効果については言及してきたが、 同時に新たな法整備やルール作りにおいても、今後もさらに深く研 究調査を行うと共に、広く有益な情報を皆様と共有していきたいと 考えている。  


一般社団法人 ロケーション・エンタテインメント学会
理事  泉屋 利吉




 1988年に屋根付きの東京ドーム建設により一大変革を起こし、 様々な著名アーティストのコンサートやスポーツ興行を行ってきた が、その”こけら落とし”として選んだのが、マイクタイソンのヘビー 級世界タイトルマッチでした。   

 当時、こういった業界のプロモートは大変難しいものがあり、な おかつ交渉の経験がなかったこともありなかなか難しい面もありま したが、この最初のボクシング興行では、チケットとスポンサーシ ップなど合わせて1日の興行で15億円を売り上げ、この記録は東京 ドームにおいて未だに破られていない大記録です。その2年後にも タイソン戦を開催しましたが、その際にチケットを発売1日で完売 したものの利益は数億円と減少し、その後更にもう一度開催した際 には赤字になりました。それ以来、東京ドームではボクシング興行 を開催しておらず、現在では収容人数が約2000人規模の後楽園ホー ルにおいて日本人の試合が行われているのみとなっています。

 現在、マカオやシンガポールでは、カジノとの相乗効果を利用し、 ボクシングの世界戦や有名アーティストのコンサートを開催してお り、日本の村田諒太選手の試合なども行われていますが、これらの 興行の殆どはすでに20年前に東京ドームで実施したものであるし、 また、日本人はこういったコンテンツの企画が上手いとも思ってい ます。  

 ただ現状は、ボクシングの世界戦開催に必要な金額(主にファイト マネー) が大変高額(実に日本のタイトルマッチの20倍以上)と なっているため、日本での開催は難しいと思われます。  

 ですが今後、IR(統合リゾート)法案が通過し日本にカジノを 含むIRが誕生することになれば、その相乗効果によって、再び日 本でのボクシング世界戦の開催もきっと可能になるのではないでし ょうか。  


一般社団法人 ロケーション・エンタテインメント学会
理事  秋山 弘志




 統合リゾート(IR)では、カジノに興じない女性や上流・中流向け のショッピングセンターやシネコンなどの施設が不可欠ですが、 カジノで1度に1,000万円以上使うプレーヤー、いわゆる”ハイロ ーラー”を集客するためのハイレベルなエンターテインメントを提 供しています。たとえば世界的なスター・エンター・テイナーの興 行を、小規模劇場で行い、高額チケットを販売するプレミアム公演 も盛んで、こうした手法は利益率の高いカジノならではのものです。   

 法案が通過し日本にも統合リゾートが誕生すれば、東京オリンピ ック後の訪日客の落ち込みをカバーできる起爆剤になるでしょう。 すでにロシア・ハバロフスク特区、韓国・仁川空港周辺では大規模 カジノの開発計画があり、台湾でも解禁は近いと言われるなか、 当然、顧客の囲い込みも起こるので、日本での開発時期がずれ込む ほど不利といえます。

 日本の現状はカジノビジネスに関する専門知識を有した人材が不足 しているためか、カジノについて誤解を招く情報も残念ながら少な からず存在しています。当学会では研究及びセミナーを通じ専門家 による知識の教授を行うとともに、カジノに関する正しい情報を 発信し、日本におけるカジノ産業の健全な発展への寄与目的とし 活動を行ってまいります。
 

一般社団法人 ロケーション・エンタテインメント学会
副会長  北谷 賢司



(出展:日経アーキテクチュア 2014年4月25日号)